Allende炭素質コンドライト中のカンラン石結晶2個を含む包有物とカンラン石コンドルール1個について、大阪大学の日立IMA-2A型二次イオン質量分析計を用いてマグネシウム同位体比測定を行った。この内、前者の結晶2個中で、約5〓の^<24>Mg過剰が見い出された。また、これらのカンラン石の鉱物組成を、鳴門教育大学のEPMAを用いて測定した結果、それぞれ、Fo_<95>およびFo_<85>であることが知られ、Forsteriteに富んだカンラン石中に^<24>Mg過剰が存在することが明らかとなった。Forsteriteは、Spirelなどとともに、原始太陽系星雲形成時の星間物質凝縮の際、比較的高温で晶出する成分であり、この晶出段階で過剰同位体が取り込まれた可能性が極めて強い。このことは、原始太陽系星雲形成時には星雲中の気体および結晶分子などは同位体的に不均一であったことを示すものである。 上述の研究と並行して行っているイオン顕微鏡の開発に関連しては、本年度の予算により、設備備品として、イオン検出部に用いる米国ケースレー社製の微小電流検出用エレクトロメータとイオン計数用ユニバーサルカウンタりの購入を行った。また、消耗品費では、レンズ系制御用としてモジュール化された装置組み込み型高電圧安定化電源を購入し、電源系の製作を主として行った。さらに、本研究費とともに交付されている科学研究費一般研究(A)の経費により、加速収束レンズ系の電極類および支持用の絶縁物スペーサ類の製作を行い、昭和63年度中にイオン顕微鏡本体の完成を見る予定である。平成元年度は、標準金属試料などを用いた試験的な実験が開始できる見込みである。
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