密度不均質のある乱流場で、密度変動が重要な影響をもつ場合にも適用しうる運動量およびスカラー量の乱流輸送モデルを構成するため、密度加重平均した輸送方程式を導入した。特に旋回乱流場においては、旋回により生じる圧力勾配と密度変動の相関項が影響をもつようになり、スカラー量の乱流輸送を抑制したり促進したりする作用があることがわかった。このような項を含めた運動量やスカラー量の輸送流束に関する輸送方程式を解くことにより乱流輸送流束を算出し、流動と混合の数値計算を行い、実験と比較し、密度変動の効果とその原因が明らかになった。 (1)旋回空気中にHeまたはCO2を同軸に噴出させた場合の2成分系ガスの乱流混合について、密度差のちがいにより、Heの場合は混合が抑制され、CO2の場合は促進されるといった混合特性が異なること、このような実験で得られた傾向が数値予測できること、密度変動の影響を考慮しない場合には予測できないこと、等がわかった。また、これらの原因が明確になった。 (2)次に、燃焼を伴う旋回乱流の数値シミュレーションを行い、実験と比較した。燃焼を伴う場合は密度の不均質が著しく、密度変動が旋回によって誘起される圧力勾配と干渉して混合の抑制現象が生じることがわかった。このことにより、実験で観測された場合の抑制や火災の伸長の現象が解明され、その予測のための方程式のモデリングの指針が得られた。
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