la分子の免疫学的機能を解析するために、la遺伝子が導入されたトランスジェニックマウスを作成し、以下の点を明らかにした。 1.導入されたla遺伝子の子孫への伝達の安定性。 導入されたla遺伝子(E^d_α遺伝子)に関してホモ接合体となったトランスジェニックマウスおよびそれと正常C57BL/6マウスを交配させて得たヘテロ接合体マウスを継代して、その導入E^d_α遺伝子の発現を蛍光抗体法により調べた。その結果、導入E^d_α遺伝子は、数世代にわたって安定して子孫に伝達されることが明らかにされた。 2.異なった遺伝的背景を有するマウスへのE^d_α遺伝子の導入。 E^d_α遺伝子ホモ接合体トランスジェニックマウスをH-2ハプロタイプの異なった数種類の近交系マウスと交配させ、F1マウスを作成した。このF1マウスにおけるE^d_α遺伝子の発現を蛍光抗体法にて解析したところ、何れのマウスにおいてもE^d_α遺伝子の発現がみられた。現在、戻し交配による実験を計画中である。 3.E^d_α遺伝子導入トランスジェニックマウスにおけるアイソタイプ混合la分子の解析。 導入E^d_α遺伝子と、内因性のA^b_β遺伝子が会合したアイソタイプ混合la分子(A^b_β E^d_α)の存在を2次元電気泳動法により証明した。すなわち、放射性同位元素で標識されたトランスジェニックマウスの脾細胞を抗A^b_β抗体で免疫沈降すると、A^b_β、A^b_α分子以外に、E^d_α分子が沈降することがわかった。この分子がE^d_α分子であることは、沈降物混合試験および吸収試験により確認した。現在、この分子の免疫学的機能の解析を行っている。
|