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1988 年度 実績報告書

野生マウス由来のmtDNA導入によるマウス・ミトコンドリアゲノムの遺伝学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 63619510
研究機関埼玉県立がんセンター

研究代表者

林 純一  埼玉県立がんセンター, 研究所生化学部, 主任研究員 (60142113)

キーワード日本産野生マウス / 化学発癌 / ミトコンドリアDNA / 核・ミトコンドリア間遺伝子移動 / 細胞質移植
研究概要

すでに昨年度、伝達能の優れた日本産野生マウスのミトコンドリアDNA(mtDNA)の細胞質移植・置換の実験によって、"mtDNAの遺伝的変化"が(1)細胞の癌化を誘導したり、(2)その発現に必要であることはないという結論を得た。しかし"mtDNAの遺伝的変化"ではなく、化学発癌剤によって切断されたmtDNAの断片が、核DNAの中に組み込まれることによって、癌遺伝子や癌抑制遺伝子等の発現が変化を受け癌化が誘導されるという可能性は残されている。そこで今年度は、実際に核DNAの中にmtDNA又はその一部が組み込まれているかどうかを検索した。
先ず前回使用した日本産野生マウスのmtDNAをもつ正常細胞と、これをメチルコラントレン処理によって癌化させた細胞から、mtDNAの混入がきわめて少ない核DNAを調節し、これをPstIで切断し電気泳動後、日本産野生マウスのmtDNAとハイブリダイズさせた。その結果、mtDNAとは全く異なる位置に、mtDNAときわめてホモロジーの高いフラグメントが2本見出され、しかもこれらの量比や移動度は正常細胞と癌細胞で差がみられなかった。このことは細胞の癌化にmtDNAの断片が関与していないことを示唆しているが、最終的な結論を得るためには、微量に混入しているmtDNAを完全に除く操作が必要である。
一方、マウスの核DNAにmtDNAとホモロジーの高い塩基配列が存在するという報告はこれまでになく、このことが事実であるとすれば多くの魅力ある研究課題が生じてくる。今後は、(1)核、ミトコンドリアゲノム間の遺伝子の動きが、かって進化の過程で起きたのか日常行われているものかどうか、(2)マウスの亜種間、更にはマウスの発生、分化、老化、癌化によって差が生じるのかどうかを調べることにより、オルガネラゲノム間の遺伝子の移動とそれがもつ生理的役割を明らかにしていく方針である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Jun-Ichi Hayashi: Mol.Gen.Genet.211. 381-385 (1988)

  • [文献書誌] 林 純一: 生化学. 60. 272-277 (1988)

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公開日: 1990-03-20   更新日: 2016-04-21  

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