研究課題/領域番号 |
63628507
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山根 隆 名古屋大学, 工学部, 助教授 (80030055)
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研究分担者 |
橋本 和彦 名古屋大学, 農学部, 助手 (20023484)
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キーワード | X線構造解析 / 結晶構造 / 双環オサキラクタム / ε-カプロラクタム / 2-ピロリドン / ベンゾイル誘導体 / 立体構造と反応性 |
研究概要 |
備品として日立製作所のインキュベーター(CR-14型)を8月に恒温結晶化のために購入した。その結果、双環オサキラクタムのベンゾイル誘導体については、良質で放射線反応でも取り扱いが容易な1mmを越える大きさの結晶が1週間程度で調整可能となった。 消耗品として、合成のための試薬・ガラス器具、結晶化前処理及び結晶化用器具と薬品を購入した。また生成物の光学分割や精製のためのカラム類を購入した。このため、試料合成及び精製の手間と期間が大幅に短縮され、収率も向上した。X線構造解析のためにX線フィルムを購入し、研究発表のために写真処理も行った。 旅費は、「分子性結晶の反応の解析と制御」第2回公開シンポジウム(12月松山)、第37回高分子討論会(10月福岡)その他で研究発表及び研究打ち合せのために使用した。 光、放射線に対して反応性の高い双環オサキラクタム(BOL)の合成の結果、ベンゾイル誘導体(Bz-BOL)の開環反応性が元のBOLと比べて高いことが示された。その構造と反応性の相関を解明するため、Bz-BOL及び単環のε-カプロラクタム、2-ピロリドンのベンゾイル誘導体(Bz-CLA、Bz-PYR)の構造解析を行った。その結果、アミド基に対してベンゾイル基(Bz)は、3誘導体とも良く似た配向をしていた。Bz-BOLとDOLの比較では、アミド基のN-C結合距離とアミドN原子の関与する結合角を除き有意な差はみられない。N-C結合距離はBz置換により約0.06〓伸びている。これは結合角の変化と併せてアミド・カルボニル基とBzの立体反撥のためと考えられる。N-C結合距離の伸びはBz-CLA、Bz-PYRでも見られるが、Bz-BOLほど顕著ではない。以上、Bz-BOLのこの部分の立体歪が、BOLと比べてBz-BOLの開環反応性を高めていることを明らかにした。
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