研究課題
この研究では、超弦理論に基づいて、重力を含むすべての素粒子の相互作用を統一的に記述することを目標としている。この目標に到達するためには10次元時空の理論である超弦理論から、どのようにして我々の4次元時空が導かれるかを明らかにしておく必要がある。余分の6次元時空が見えないくらいに小さくなる現象(時空のコンパクト化)の可能性を調べるための道具として、弦に対する場の理論を構築する試みを行っている。この理論は未だ完成していないが、その近似としての低エネルギーにおける有効場の方法を用いることにより、4次元時空における超対称性を仮定すれば6次元空間はカラビヤオ空間にっている必要があることが知られている。コンフォーマル場の方法を用いた弦理論の解析により、N=2の超対称コンフォーマル対称性をもつ弦理論がこのカラビヤオ空間にコンパクト化した理論に対応することがわかってきた。今後、現実的な模型を導くようなコンパクト化を追求すると同時に、4次元時空における超対称性がいかにして破れるかを明らかにしていく必要がある。また、コンパクト化の無矛盾性のみならず、どのようなメカニズムにより時空がコンパクト化してゆくのかを調べてゆく必要があるだろう。今年度は現状報告と問題点の整理のために、8月29日より9月3日迄の1週間にわたり、高エネルギー物理学研究所において研究会を行った。全国の大学より100名を越える研究者が参加して活発な討論を行った。この研究会の報告はKEK REPORTとして出版した。
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