研究課題/領域番号 |
63630501
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中嶋 英雄 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (30134042)
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研究分担者 |
長谷川 雅幸 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (80005975)
山口 貞衛 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (80005892)
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キーワード | 準結晶 / イオンビームミクシング / 正20面体 / 多層膜 / イオン照射 |
研究概要 |
急冷したAl合金中に正20面体の対称性を有する中間相が形成される事実が報告されて以来、この準結晶の構造と物性に関して多くの研究が行なわれてきている。しかしながら、準結晶の構造および種々の物性を理解する上で、準結晶の成長機構を原子論的尺度から解明することが重要であるが、これに関する知見はきわめて乏しい。本研究の目的は、異なる原子層を積み重ねたAl基多層膜を作製しイオンビームを照射することにより準結晶を作製すると共に、その生成機構をX線回折法および透過電顕を用いて明らかにすることである。我々はRFスパッタリング法を用いて、Al/Cr多層膜を作製し、従来行なわれていない軽元素希がスイオン、HeおよびArイオンを、照射しその構造変化を調べたので、この結果について報告する。 RFスパッタリング装置を用いてAl/Cr多層膜を作製し、それらに10keVのHeおよび75keVのArイオンを照射することによりイオンビームミクシングを行なった。その結果Arイオンを照射することにより準結晶構造を示す電子線回折パターンが見い出された。Xe以外の希がスイオン照射により準結晶が見い出されたのは、本研究が初めてである。また、Heイオン照射により金属間化合物Cr_4Al_9が生成されたり、Arイオン照射によりT相かあるいは準安定相(同定できない)らしいものも見い出された。イオンビーム照射による材料の改質は、イオンビームの線量率、照射量やターゲットの温度などの高度の制御が容易であり、はじき出し損傷量や照射によるミクシングなどを予測することができるので、今後、準結晶の生成機構についてより詳細な知見が得られることが期待される。
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