研究課題/領域番号 |
63631005
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
井上 正博 筑波大学, 物理工学系, 助教授 (00013532)
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研究分担者 |
大高 一雄 東京大学, 物理工学科, 助教授 (40010946)
竹森 直 筑波大学, 物理工学系, 講師 (70188225)
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キーワード | 高温超伝導 / クーパー対 / エネルギーギャップ / プラズモン機構 |
研究概要 |
高温超伝導は銅と酸素からなる準二次元面内のキャリヤにより実現していると考えられているが、その電子状態、超伝導の発現機構についての議論は未だに収束していない。我々は層状物質の超伝導状態では層内キャリアのペアと隣の層にまたがったペアが考えられることを指摘し、状況によっては後者の方がより高い臨界温度を持つことを示した。ここでは二枚の伝導面からなる系を考え層間の電子移動が超伝導状態に与える効果を調べた。電荷移動が無い場合により高い臨界温度を持つ超伝導状態しか実現しない。つまり二つ超伝導状態は排他的に相互作用をしている。しかし電荷移動の効果が無視出来ない場合、電子は二層にまたがった結合状態と反結合状態を形成しそれぞれがフェルミ面を作り、超伝導はそれぞれのフェルミ面でのクーパー対の形成により実現することになる。この場合には高い臨界温度を持つ状態が実現するとペアを組んだキャリアの一方が隣の層に移動することにより層間および層内クーパー対が同時に実現されることになる。言い替えると結合状態と反結合状態のクーパー対は協力的に相互作用すると言える。臨界温度以下ではそれぞれの超伝導状態に対応してエネルギーギャップが現れ、層内、層間のクーパー対が同程度混じっている状態では反結合状態のギャップが結合状態のギャップに比べ非常に小さくなる事が示された。 二次元電子系に於いては長波長の電荷ゆらぎ(プラズモン)を媒介とした超伝導が古くから提唱されており高温超伝導に対してもいくつかの議論があるがいずれも定性的なものでしかない。我々は相互作用の運動量依存性まで正確に取り入れて定式化しまずRPAの近似(バーテックス補正を無視した近似)で臨界温度を求めR_s=2、3、4、5に対しkTc/E_f=0.007、0.048、0.135、0.223を得た。現在セルフエネルギー、バーテックス補正の効果を計算している 。
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