本研究では主に2つのテーマについて研究した。それぞれについて以下にその概略を記す。 (I)主な超伝導物質についてそのエネルギーギャップの大きさ、2Δ/RTCの値を系統的に調べてきた。 1)従来から知られているBaPb_<1-x>BixO_3のエネルギーギャップを種々のxの値に対して調べた。xが増加するにつれてTcも増加するがそれにつれて2Δ/RTcの値も増加する。金属-絶縁体近傍の領域ではTcが急激に減少するが、その領域でも2Δ/RTcは一定値になっていることが判明した。 2)(La_<1-x>Srx)_2CuO_4とYBa_2Cu_3OyではBCS理論から予想される値(2Δ/RTc〜3.5)より同程度か少し大きい程度の大きさである。 3)それに反して、Bi系では2Δ/RTcの値は大変大きく、Bi_2Sr_2CaCu_2Oyでは2Δ/RTc【similar or equal】10〜12(〓CuO_2)、5.5〜6.1(〓CuO_2)であった。更にエネルギーギャップの大きさの異方性はΔ(〓CuO_2)/ΔなしCuO┣D22)〜1.7〜1.8であった。又、Bi┣D22┫D2Sr┣D22┫D2CuOyでは2Δ/RTc〜5.4-6.2〜6.4-7.4であった。Bi系のみなぜこのように大きいのか今の所明らかではない。 4)最近発見された電子注入型の超伝導体(Nd_<1-x>Cex)_2CuO_4のトンネル効果の実験を行なった。それによると2Δ/RTc〜5.2-5.4でホール導入の(La_<1-x>Srx)_2CuO_4のそれよりか少し大きい。 (II)トンネル効果の実験と平行して新しい超伝導体の探索を行なってきた。今まで我々がみつけた物質としてはLn-Bi-Sr-Cu-O系、Nd-Sr-Ce-Cu-O系である。最近、他の新しい超伝導体を発見したがそれについて現在単相化を行なっている。
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