本研究においては、(1)反応室内のマイクロ波電界分布およびプラズマパラメータの空間分布を自由に制御し、(2)マイクロ波プラズマ内外の反応性の差異を、プラズマパラメータと膜質との関係において系統的、かつ定量的に解明する。さらに、(3)膜堆積機構におけるプラズマ粒子衝撃の効果を解明し、膜損傷の無い、かつプロセス効率の高い条件を見いだすことを目的とする。そこで、特に制御性及び結合性の優れた、同軸線路型、直交磁界型(ガス流と磁力線が直交するもの)とリジターノコイル型について着目して研究を進めてきた。 昭和63年度は、新しく大面積同軸線路型プラズマCVD装置を作成し、プラズマ内外での薄膜作成に成功し、以下の成果をあげた。 (1)プラズマ粒子衝撃が膜質に与える影響について検討し、放電プラズマ外において、プラズマ粒子衝撃を避けることにより、高速堆積(120〓/s以上)、高品質薄膜作成を可能とした。 (2)各種のプラズマパラメータの内幾つか(電子温度、電子密度、発光強度の空間分布など)のパラメータ測定を行い、広範囲な制御条件下で、マイクロ波プラズマの性質を、明らかにした。 (3)ガス流に直交する磁界、いわゆる直交磁界による新しいECRプラズマの発生法を示し、本放電方式における、プラズマの閉じ込め効果を明らかにした。さらに、ECRプラズマ中では高エネルギーイオン衝撃が大きく、膜質が劣化することを示した。 (4)14cmおよび40cmリジターノコイルを用いてECR磁界を印加して、大口径の静かな均一プラズマの発生に成功した。 (5)ガス圧制御システムを準備し、10^<-4>〜10^<-2>Torr領域のガス圧を制御し、安定な水素プラズマの発生に成功した。
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