本研究は、オブジェクト指向パラダイムに基づくデータベースの理論的研究を行うとともに、これに基づいて、オブジェクト指向データベースとその操作言語の視覚的インタフェースの研究開発を行うものである。 理論的研究の成果としては、手続きの内容や相互関係を陽に表現できる形式的なデータベースモデルを構築し、その上で、手続き中に現れる操作の類別を行うとともに、不都合を生じる可能性のある手続きの検出アルゴリズムを考案した。 データベースの視覚化に関しては、本研究では、図形・画像などのマルチメディア情報をページ記述言語PostScriptを用いて手続きの形で記述し、これを関係データベースシステムに格納するという方法を考案し、試作システムを稼働させた。 データベース操作言語の視覚化については、Smalltalkをベースとした簡単なデータベース機能を実現し、この上に視覚的インタフェースとしてハイパーテキストを利用するという方法を考案した。データベース中の各オブジェクト本インタフェース上ではテキストとして表示され、このテキスト中の任意の部分からデータベース中のオブジェクトに対して参照リンクが設定・利用できる。特に、データベースへの検索質問を内容として有する「動的リンク」が利用できる点が特徴である。また、履歴情報データベースを操作するために、時間を含む検索条件をタイムチャート形式で表現できる視覚的言語HistoryChartの操作も行っている。本言語は、データ間の汎化関連を扱うことができ、より抽象的な概念を用いて質問を構成したり、検索結果を抽象化することができる。また、必要に応じて、検索された履歴をタイムチャート形式で表示することも可能である。
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