研究概要 |
副腎皮室ミトコンドリアのステロイド水酸化酵素系を構成するアドレノドキシン還元酵素(AR)、アドレノドキシン(AD)及びチトクロームP-450scc(P-450scc)の反応メカニズムと構造との相関を研究するために、63年度には、ADとP-450sccのcross-Linked complexを水溶性カルボジイミドを用いて調整し、精製を試みた。P-450scc(140nmoL)とAD(430nmoL)とを8mMI-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドで、0℃、9時間反応させ、complexを調整した、セファデックスG-25でカルボジイミドを除去して濃縮し、セファデックスG-100カラムクロマトグラフィーを行い、未反応のADを除いた。さらに、CM-セファデックスC-50,DEAE-Bio-GeLAカラムクロマトグラフィーによりcross-linked complexを精製した。本complexの精製はAR-ADのcross-linked complexに比べて精製が困難であり、現在70%程度純粋な標品を得ている。今後、HPLCなどを併用して、純粋な標品を調整し、cross-linkした位置を決定することにより、P-450sccのAD binding sifeを決定したいと考えている。 今回調整した部分精製標品のcross-linked complexをARによって還元させると、全P-450の15%程度を還元し、ADを1個添加すると活性の増加がみられた。次に、AR-ADのcross-linked complexによっても、AD-P-450sccのcross-linked complexを還元できることがわかった。これらの結果は、本反応メカニズムが、complexメカニズムによっても説明できることを示しており、従来考えられてきたシャトルメカニズムだけでは本反応を説明できなくなってきた。今後、純粋なAD-P-450sccのcross-linked complexでこのことを追求していきたいと考えている。
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