研究課題
食品には栄養素としての機能以外に、人間の生体調節系に作用する多くの因子が存在することが明らかになりつつある。このような食品の生体調節機能に関する研究は人類の健康の増進を図るうえできわめて重要な意義を有しているが、生体調節因子の構造や機能については未解決の部分が多く、また食品中の生体調節因子をいかに利用するかという点についても解決せねばならない問題点が多い。本課題では食品の生体調節機能について次の五つの観点から検討を加えた。I.食品に由来する生体調節因子の構造II.生体における食品成分の受容・応答の機作III.食品成分による細胞分化誘導の機作IV.食品成分による生体防御の機作V.食品構造の修飾と新機能の開発これらの研究を通じて食品由来の新しい生体調節因子(細胞増殖因子、サピオイドアンタゴニスト、コレステロール低下ペプチド、抗発癌プロモーターなど)が見出された。また食品中の摂食調節物質、膵液調節物質、ホルモン分泌調節物質、神経調節物質、細胞分化増殖調節物質、免疫系調節物質の作用機構を検討した。さらに食品成分に物理的、化学的、酵素的および遺伝子的に修飾し、食品の生体調節機能の有効利用を図るための研究を開始した。総括班で購入したプロテインシーケンサを用いて班員の共同利用に共し、ペプチド性生体調節因子の構造決定を行った。また九月には東京にて講演会と班員会議を行った。さらに1月には京都にて公開シンポジウムと初年度成果報告のための班会議を開催した。3月には初年度成果報告書を刊行した。
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