研究概要 |
植物起源の食品を中心に、天然抗酸化物質の検索を行い、分取用HPLCを含む最新の機器を用いて活性物質の単離、精製を行った結果、ゴマ種子からは新しいリグナン配糖体、米種子からはisovitoxinを見いだし、ウワミズザクラのリーフワックスからはpeurusoi A,Bという新しいγ-トコフェロール誘導体を見いだすことができた。さらに、どの様な作用機構でこれらの天然抗酸化物質が抗酸化性を発現するのかESRなどを用いて有機化学的立場からのモデル実験により検討を行うと共に、申請者らがすでに検討中の赤血球の膜(ゴースト)を用いた糸やラット肝ミクロゾームなどをもちいた。invitroの糸により膜透過性も含めて生体機能に対する影響について分子レベルで検討を行い、新しい知見を得ることができた。また、赤血球膜由来の過酸化脂質に基づく変異原性に関しても、大腸菌の変異株Eico1、WP2、WP2S、及びZA5株等を用いることにより検出が可能となったので、各種天然抗酸化物質について評価を行ったところ、脂溶性抗酸化物質と水溶性抗酸化物質では異なった作用機構で脂質過酸化誘導の変異原性を抑制するものと推定されたが、詳細については今後の課題である。 このような研究の遂行のためには、さらに、異なったタイプの天然抗酸化物質の単離、精製法の確立が必要である。われわれが、日常摂取する可能性のある食品のうち、食品に関連の高い植物生薬や香辛料、さらには、納豆などの発酵食品という広い範囲の食品を対象に、抗酸化成分の単離、精製を行うと共に、ラジカルスカベンジャーとしての役割も果たしうるが、ESRも含めて有機化学的立場から解析を行うことも必要であろう。
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