遺伝子操作を用いて、プロテインボデイ中へ親水性で、かつ高栄養価のポリペプチド(例えば牛乳カゼシン)を導入することにより疎水性構造を破壊することによりコメタンパク質の消化性と栄養価を格段に改善することを目指して研究を進めた。 上記目的達成のため、本年度は難消化性プロテインボデイ(PB-1)へ集積するポリペプチドのシグナル配列に関する法則性を明らかにするための作業を主として行った。その結果、PB-1へ集積する10kDa、13kDaプロラミンのcDNA構造が完全に決定出来た。その結果、10kDaは24アミノ酸からなるシグナル配列を有すること、また、13kDaプロラミンの一つは19アミノ酸からなるシグナル配列を有することが判明した。ここに得られたシグナル配列同士および10、15、19、22kDaゼインのシグナル配列間に強い相同性(70%以上)が存在することが明らかになった。この事実はシグナル配列がPB-1タイプのプロテインボデイへプロラミン分子を導入するために、本質的に重要な寄与を果すことが想像された。このことはイネ10kDaプロラミンシグナル配列を牛乳カゼイン分子と結合させたキメラタンパク質をトウモロコシプロテインボデイへ導入するin vitoro実験によっても確認された。
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