研究課題
血小板活性化の引き金をひく血小板膜受容体に焦点をあわせた。受容体存在部位として血小板膜糖蛋白(GP)が知られているが、山崎はGPIbのアミノ酸配列をもとに、アミノ酸約30個からなるいくつかのペプチドを合成し、トロンビン凝集へのこれらの抑制効果から、GPIb上のトロンビン結合部位を決定した。GPIIbとIIIaは複合体を作りここに存在するフィブリノゲン結合部位が刺激により露出し、そこへフィブリノゲンが結合することにより凝集が生じるとされているが、山崎はGPIIIaにエピトープを持つモノクローナル抗体を作り、その抑制効果からフィブリノゲン結合にGPIIIaが重要であることを示した。GPIIb/IIIaの異常は血小板無力症の原因となるが、加藤は同患者の白血球よりDNAを抽出し、この遺伝子の制限酵素地図およびプローブの作成を試みた。諸井は異常GPIIbを有する血小板無力症の1症例にて、このGPIIbが一本鎖のGPIIb生合成中間体に担当することを明らかにした。また他に同様の異常GPIIbを有する無力症患者を見出し、計3家系を記載した。またコラゲン凝集のみを欠損する患者血小板でGPVIがないことを知り、GPVIの意義を推定した。斉藤はコラゲンに強い親和性を持つ糖蛋白を見出し、単離精製し、これまでの報告と異なる物質であると推定した。さらに血小板の凝固XIII因子がコラゲンの受容体として働き得るとの仮説について、XIII因子が血小板膜表面にも存在することを証明した。またコラゲンと抗XIII因子抗体が血小板上の結合部位を共有していることを見た。大熊は血小板膜よりトロンボキサンA_2受容体を精製し、シアル酸を含む糖蛋白であり、分子量150-200KDでanioicな性格を持つとした。木幡は血小板よりトロンボスポンジンを精製し、構造解析を行ない、12本のAsn結合型糖鎖を持ち、90%はシアル酸を含む酸性糖鎖であり、この糖鎖は生物活性を保つのに重要であるとした。
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