研究課題/領域番号 |
63637501
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
長沢 滋治 北海道大学, 薬学部, 助教授 (70029958)
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研究分担者 |
高橋 和彦 北海道大学, 薬学部, 助手 (10113581)
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キーワード | 補体系 / 外因系凝固 / C4b結合蛋白質(C4bp) / プロテインS / インターロイキン-6(IL-6) / 急性相蛋白質 |
研究概要 |
補体系は、食細胞やリンパ球を活性化し、感染細菌や免疫複合体の排除に当たるほかに、最近では血液凝固系とも関連深い酵素系として注目されるようになってきた。 本研究では、補体制御因子C4b結合蛋白質(C4bpと略)が外因系凝固因子プロテインSの結合蛋白質でもある点に焦点をしぼり、生合成レベルでの両因子の関連性、C4bp分子上のプロテインS結合ドメインについて研究を進めつつある。 本年度は培養肝細胞を用いて、両因子の生合成が細胞刺激因子によって同調して亢進するかについて検討した。補体系蛋白質には炎症のさいに血中濃度が高まる、いわゆる急性相蛋白質に属するものが知られている。C4bpは補体系の制御因子であるところから、炎症刺激によって生合成が亢進すると予想された。一般に、急性相蛋白質の生合成はマクロファージが産生するサイトカイン(インターロイキン-1、(IL-1)、インターロイキン-6(IL-6)、 TNF)さらにはグルココルチコイドによって調節されている。特に、IL-6が代表的な急性相蛋白質の生合成刺激因子である。 ヒト肝ガン由来の培養細胞株HepG2を種々のサイトカインやグルココルチコイドを含む培地中で培養し、培地中に分泌されたC4bpやプロテインS量を酵素免疫測定法にて定量した。その結果、C4bpの生合成量はIL-6の添加により約2倍に高まり、プロテインSの生合成も同じく約1.7倍高まった。これは、両者は急性相蛋白質に属し、両者は生合成レベルでも同調的関係にある可能性を示唆している。IL-6以外のサイトカインやグルココルチコイドによる生合成亢進はみられなかった。 その他、約15種のC4bpに対する単クローン抗体を用いて、C4bp上の機能ドメインの解析も進めつつある。
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