研究課題/領域番号 |
63641007
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
篠沢 隆雄 群馬大学, 工学部, 助教授 (30025449)
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研究分担者 |
臼倉 治郎 名古屋大学, 医学部, 助教授 (30143415)
鈴木 教世 北海道大学, 理学部, 講師 (10001851)
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キーワード | 視細胞 / 嗅細胞 / 環状ヌクレオチド / イオンチャンネル / 情報伝達機構 |
研究概要 |
脊椎動物の視細胞と嗅細胞は、シリア(せん毛)構造を有する。また、一般にシリア構造部分に環状ヌクレオチド合成酵素が局在する。これらから視細胞などに環状ヌクレオチドが関与する共通な機構の存在を我々は予想した(蛋白質核酸酵素1984年)。この予想は両細胞に於て環状ヌクレオチドがイオンチャンネルを開閉する事で情報伝達が行われる事の解明によって的中した。視細胞のcGMP依存イオンチャンネル我々が発見した分子量250KのcGMP結合蛋白質について、前年度の成果をもとに、この蛋白質を純品まで精製すべく、等電点電気泳動法の微量用装置を自作した。等電点分画まで進展したが、純化には至らなかった。嗅上皮シリアのcAMP依存イオンチャンネルの解析食用がエルを用いて以下の進展を得た。(1)前年度確立したCaイオンショック法と庶糖密度勾配遠心法で精製した嗅上皮繊毛から45%庶糖と界面活性剤CHAPSにより膜蛋白質を可溶化した。可溶化後リポリームに組み込み、封入したCaイオンのcAMPによる流出をArsenazoIIIにより検出できた。この様にして測定したイオンチャンネル活性はcAMP、cGMPいずれでも100μM〜1mM付近にわたって開かれる事が判った。(2)イオンチャンネル蛋白質を精製すべく、cAMPアガロースによるアフィニティクロマトグラフィを行い、すでに我々が報告した分子量約35KのcAMP結合蛋白質を中心に数種の特異的な蛋白質を検出した。考察 嗅上皮繊毛膜蛋白質をリポリームに組み込みイオンチャンネル活性を検出した例は本研究が初めてである。蛋白質の精製とcDNAを用いた一次構造の決定が今後の課題である。視細胞と嗅細胞の類似性を考えると、その進化的背景は興味深い。このシステムを用いてイオンチャンネル蛋白質の分子レベルでの進化的解析が可能である。
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