研究課題/領域番号 |
63641502
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
石橋 輝雄 北海道大学, 医学部, 教授 (60001872)
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研究分担者 |
西平 順 北海道大学, 医学部, 助手 (30189302)
高桑 雄一 北海道大学, 医学部, 講師 (40113740)
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キーワード | 赤血球膜 / 膜骨格 / 変形能 / 膜安定性 / グリコフォリン / 4,1蛋白 / イノシトールリン脂質 / Caイオン |
研究概要 |
初年度は、本研究の要である赤血球膜機能測定装置の製作に主力を注いだ結果、レーザー光による赤血球及びゴーストの回折像を得ることが出来るようになった。変形の程度は、Deformability Index(DI)としてコンピューター処理により直ちにXYプロッターにて記録している。この装置を用いて、赤血球膜機能のうち変形能は、Shear Stressの増加に対するDIの増加で、又膜安定性は一定のShear StressのもとでのDIの減少で測定している。この測定法を用いて、まず、膜を介する情報伝達に重要な役割を担っているCa^<2+>とカルモジュリンの効果について検討した結果 1)生理的濃度のカルモジュリン存在下でCa^<2+>(1μM以上)により膜安定性が調節されること 2)高濃度のCa^<2+>(100μM以上)によりカルモジュリン非依存性に変形能が低下することを明らかにした。次いで 3)植物凝集素で処理した赤血球の変形能が非処理赤血球に比べて著しく低下すること 4)上記の処理赤血球から作成したトリトン殻には、非処理赤血球から作成したトリトン殻には認められないグリコフォリンAが残存していることを明らかにした。これらの結果は、グリコフォリンを介するトランスメンブランコントロールの存在を強く示唆している。現在、このコントロールが4.1蛋白を介するか否かについて、反転小胞及び精製したグリコフォリンを組み込んだリポソームと4.1蛋白の結合について検討している。又、当初予定していた4.1蛋白欠損赤血球の入手が困難であるため、抗4.1蛋白抗体を作成し、これを封入したゴーストをコントロール実験とする予定である。さらに、赤血球膜の内層のイノシトールリン脂質の定量については、従来の薄層クロマトグラフィーによる方法では、定量性に限界があるため、イノシトールリン脂質個々に対する抗体を用いた定量法を検討中である。
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