分裂酵母染色体分離に欠損をもつdis2変異を、多コピー導入により相補する遺伝子sds22^+は、ロイシンに富む22アミノ酸を1単位とする11回繰り返し構造をもつ特徴的なタンパク質をコードしている。sds22^+遺伝子産物の機能を同定する第一歩として、酵母遺伝学の特長である遺伝子破壊法により、sds22^+遺伝子が生育に必須であるか検討した。手順、および結果は以下の通りである。 1-(1)sds22^+遺伝子を含むDNA断片を制御酵素(NruI/HpaI)で消化し、コーティング領域を大部分失った欠失プラスミドを作製した。 1-(2)さらに、欠失プラスミドに栄養マーカーであるUra4^+断片を挿入した。 1-(3)野生型二倍体細胞を上記のsds22^+遺伝子欠失断片でURA^+に形質転換した。サザン法によってURA^+形質転換体では、染色体上の一方のsds22^+遺伝子が破壊されていることは確認した。 1-(1)テトラド分析して、sds22^+遺伝子を欠失した一倍体細胞が増殖できるか調べた。その結果、テトラドは常に2:2(生存:致死)で、生存できる一倍体はウラシル要求性をもっていた。 以上のことからsds22^+遺伝子が必須遺伝子であることが判明した。次に染色体上のsds22^+遺伝子を欠失した一倍体をsds22^+遺伝子をもつプラスミドで形質転換した。そして形質転換体でそのプラスミドを失わさせて、sds22^+遺伝子産物が分裂酵母細胞周期のでの事象に必須であるか調べた。その結果以下のことが明らかになった。 2-(1)sds22^+遺伝子産物を失って、分裂酵母は細胞周期特異的に停止する。クロマチン領域はDNAが凝縮し、M期中期停止であった。 2-(2)上記の表現型はdis2変異と類似していた。 以上のことから、sds22^+遺伝子は染色体分離に必須であると思われる。
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