時系列解析統合ソフトウェアの研究

1989 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 63830002
• 研究機関: 統計数理研究所
• 研究代表者: 北川 源四郎 統計数理研究所, 予測制御研究系, 助教授 (20000218)
• 研究分担者: 樋口 知之 統計数理研究所, 予測制御研究系, 助手 (70202273) ; 伊庭 幸人 統計数理研究所, 統計データ解析センター, 助手 (30213200) ; 坂元 慶行 統計数理研究所, 領域統計研究系, 助教授 (50000211) ; 田村 義保 統計数理研究所, 統計データ・解析センター, 助教授 (60150033)
• キーワード: 時系列解析 / 非定常 / 非線形 / 平滑化 / フィルタ / ソフトウェア

研究概要

昨年度までの研究で、極めて一般的な条件のもとでも状態空間モデルに対する逐次型のフィルタおよび平滑化のアルゴリズムが導出できることがわかった。昨年度はこの結果にもとづき、時系列解析のための汎用的ソフトウェアを開発するために、数値積分などの数値的方法によってこのアルゴリズムを実現する基本的なプログラムの作成を行った。
本年度の研究では、種々の問題への適用のために必要なプログラムを作成し実用上の問題点の検討を行ない、アルゴリズムやプログラムの改良を行なった。さらに、数値計算法では実行できない高次元の問題への適用を可能とするため、ガウス和形の平滑化アルゴリズムを開発した。この方法により、非ガウス型の季節調整、時系列中の欠測値や異常値の自動処理が可能となった。また、ワークステーションのグラフィック機能を利用したデータ表示、解析の会話処理の方法の検討を行なった。
現在までの研究により作成したプログラムは次の様なものである:非定常時系列の長期予測、欠測値の補間、異常値の処理、トレンド推定、季節調整、事変スペクトルの推定、地震到着時刻の推定、地下水位変動の検出、信号抽出(以上線形ガウス型モデル)、トレンドのジャンプの検出、ピリオドグラムの自動平滑化、非ガウス型季節調整、離散系列の平滑化、非線形平滑化(以上、非ガウス型モデル)など。
来年度の研究では、これまでに開発した個別プログラムを有機的に統合して、時系列解析のための汎用ソフトウェアを作成することを目標とする。

研究成果

• [文献書誌] Genshiro Kitagawa: "Non-Gaussian Seasonal Adyustment" Computer & Mathematics with Applications. 18. 503-514 (1989)
• [文献書誌] 北川源四郎: "非ガウス型時系列モデリング" オペレーションズ・リサーチ. 34. 541-546 (1989)
• [文献書誌] 松本則夫: "地震にともなう地下水位変動の定量的検出法の開発" 地質調査所月報. 40. 613-623 (1989)
• [文献書誌] Genshiro Kitagawa: "Nonlinear Smoothing Method for Time Series Analysis" Statistica Cinica.
• [文献書誌] Genshiro Kitagawa: "The Two-filter Formula for Smoothing and an Implementation of the Gaussian-sun Smoother" Annals of the Institute of Statistical Mathematics.
• [文献書誌] Genshiro Kitagawa: "Estimation of the Arrival Time of Seismic Waves by 3-V TimeSeries Model" Annals of the Institute of Statistical Mathematics.
• [文献書誌] Will Gersch: "Smoothness Priors in Time Series" Marcel Dekker, 536 (1988)
• [文献書誌] 坂元慶行: "統計数理" カテゴリカルデータのモデル分析プログラム CATDAP-01,02の紹介, 1988 (36)
• [文献書誌] 樋口知之: "統計数理" 時系列のフラクタル解析,
• [文献書誌] 樋口知之: "統計数理" 線形代数の観点からみた自己回帰モデルの解析,
• [文献書誌] Tomoyuki Higuchi: Spectral Representation of Linear Operator to Decompose a Time Serus into the Muti-Componets,