超長周期までの記録帯域を持つ、世界ではじめての特殊なポップアップ式海底地震計を開発・試作・テストすることが本研究の目的である。 海底地震計として海底に設置するときの耐圧容器の大きさに制約があるので、小型で超長周期まで感度が高い加速度計器を振動センサーとして今回は採用した。加速度計は、海底地震観測のために使われてたことはないので、安定性と分解能と消費電力のテストを行っている。また、センサーの外部に付加する電子回路を開発して、目標とする感度、周波数特性などの各種の特性を制御することを試みている。 また、超長周期地震動センサーを海底に設置する時のレベリングを確保するために、クランプ機構を備えた電子制御のパルスモーター駆動型水準装置を開発している。この装置は、水準装置としては高精度のもので、しかも、低消費電力である。 また、信号処理系として、a)信号増幅、フイルター、アナログ信号処理部、アナログーディジタル変換の試作。b)地震、あるいは地震波の特有の相という「現象」検出の情報処通部の試作。c)大容量の内蔵記録部の試作、を進めている。 このうち全体の鍵を握る大容量記録装置としては、海底での無人・長期間記録用として、GB(ギガバイト)の単位の記録容量を必要とすることから、ヘリカルスキャン方式の磁気へッドを持つ地震観測用の磁気記録装置を製作した。これはオーディオ用のDATの駆動機構を使って大容量のディジタル記録装置とするもので、今年度に試作を終わった。全体の電力消費を少なくするために緩衝用のメモリーを持っていて、いっぱいになったら大容量記録装置に「間欠的に」書き込む方式である。 今年度は陸上の地震観測所で性能の検定と評価を行うほか、実際に海底に設置して試験観測を繰り返し、試作機として完成する予定である。
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