ダイヤモンド焼結体アンビルによる極高圧力の発生と圧力測定方法の開発

1989 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 63840010
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 澤本 紘 名古屋大学, 理学部, 助教授 (00022707)
• 研究分担者: 加藤 学 名古屋大学, 理学部, 助手 (80115550)
• キーワード: 焼結ダイヤモンド / 極高圧力発生 / 圧力測定 / ルビ-蛍光法

研究概要

〔1〕焼結ダイヤモンドアンビルMA8による超高圧の発生-シリコンカ-バイトを結合材とした焼結ダイヤモンドアンビル(SNDAX L555.4.85mmCube)によるMA8型高圧発生装置と高エネルギ-物理学研究所の放射光X線装置を結合し金の格子定数の圧縮率から圧力を決定した。その結果TEL(切載寸法)=0.5の時最大28GPa、TEL=1.0mmの時最大41GPaまで達成出来た。〔2〕大体積焼結ダイヤモンドアンビルMA8型装置の開発-デビアスダイヤモンド社製SYNDEダイス用の焼結ダイヤモンドを立方体に加工研磨しアンビルとした。加圧はDIA15型2千トンプレスで行った。1辺が8.45mm立方体のアンビル(切載寸法2mm)の場合、最大到達圧力は28GPa(FeV15のα-ε転移圧)である。これは背面圧の材料強度限界(6GPa)によるものである。〔3〕64型高圧発生装置-1個の焼結ダイヤアンビルと7個のWCアンビルを組合せ1個とし計56個のWC及び8個の焼結ダイヤモンドアンビルにより構成される装置をDIA30により加圧し、FeV20のα-ε転移を確認し、大体積内に35GPaの発生に成功した。〔4〕ルビ-蛍光法による圧力測定の開発-測定系の主な構成はArレ-ザ-、分光器、光ファイバ-、スム-ジング回路、XYプロッタ-、デジタルマルチメ-タ-及びコンピュタ-である。光源にはArレ-ザ-を用いた。ルビ-光を圧媒体表面に導入するために1個を細い穴の開いたWCアンビルにした。その結果ルビ-光の波長シフト量により圧力を測定が可能になった。〔5〕地球物理学的応用(a)コマチャイト及びペリドタイト組成の溶触、(b)変型スピネル型(Mg,Fe)2SiO4の単結晶構造解析及び熱膨張の測定、(c)(Mg,Fe)SiO3正方晶ガ-ネットの格子定数の精密測定等を行った。

研究成果

• [文献書誌] E.Ohtani,N.Kagawa,O.Simomura,H.Sawamoto,M.Yoneda,S.Tanaka,W.Utumi,E.Ito,A.Matumuro: "High-pressure generation by a multiple anvil system with sintered diamond anvils" Rev.Scl.Instrum.922-925 (1989)
• [文献書誌] H.Sawamoto and Herzberg: "Melting of komatiite and peridotite compositions" Proceedings of the twenty second ISAS lunar and planetary symposium. 159-165 (1989)
• [文献書誌] T.lrifune,J.Susaki,T.Yagi and H.Sawamoto: "Phase transformations in diopside CaMgSi_2O_6 at pressures up to 25GPa" Geophy.Res.Lett.16. 187-190 (1989)
• [文献書誌] H.Sawamoto: "Beta-(Mg_<8.9>,Fe_<8.1>)_2SiO_4 Single crystal structure,cation distribution,and properties of coodination polyhedra," Phys.Chem.Minerals,in press,1989.
• [文献書誌] R.Matsubara,H.Toraya,S.Tanaka and H.Sawamoto: "Precision lattice-parameter determination of(Mg,Fe)SiO3 tetragonal garnets," Science,1989.
• [文献書誌] K.Tukimura,Y.Sorensen,S.Ghose and H.Sawamoto: "Thermal expansion and high temperature crystal cemistry of beta-Mg_2SiO_4," Phys,Chem,Minerals,1989.