研究課題/領域番号 |
63850008
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研究種目 |
試験研究
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
平木 昭夫 大阪大学, 工学部, 教授 (50029013)
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研究分担者 |
吉永 博俊 大阪ダイヤモンド工業, 業務取締役
羽馬 方紀 明電舎, 開発本部, 課長
中島 重夫 シャープ, 中央研究所, 部長
伊藤 利道 大阪大学, 工学部, 助手 (00183004)
川原田 洋 大阪大学, 工学部, 助手 (90161380)
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キーワード | 気相合成ダイヤモンド / 青色発光デバイス / ショットキー・ダイオード / EL / LED |
研究概要 |
気相合成ダイヤモンド薄膜による青色発光デバイス作製のための基礎検討(初年度)は、期待どおりの成果をみており、不純物制御による青色発光強度の増大および多結晶薄膜における良好なショットキー・ダイオード特性とEL発光が得られている。 1)不純物制御と発光強度の増大 ダイヤモンド成膜中の窒素混入を防ぐことにより、ボロンをドープした場合、ドープ量の増大に伴い発光強度も増大した。発光強度の増大は比抵抗が1Ωcmにまで低下した試料でも観測された。このことは深いドナーとなる窒素がアクセプターとなるボロンを補償し、発光に寄与しない再結合中心を形成していたと考えられる。低抵抗化に伴う発光強度の増大は、発光効率の高いLED作製にとって極めて有利な結果である。 2)ショットキー・ダイオード特性とEL発光 低抵抗ダイヤモンド薄膜と金属との接合において、ショットキー・ダイオード特性が得られた。ダイヤモンド薄膜が多結晶である場合でも、逆方向ブレークダウン電圧が100V以上もある良好なダイオード特性になっている。また、多結晶薄膜のシットキー・ダイオードの順方向および逆方向バイアスの印加により青色(480nm)ないし緑色(530nm)の発光が観測された。これより、多結晶薄膜でもLEDが作製できる可能性が得られた。 従来の化合物半導体では、結晶欠陥が非発光中心となることが指摘されているが、ダイヤモンドの場合は転位線およびその近傍が強く青色発光することが天然半導体ダイヤモンドで確認されている。気相合成ダイヤモンド薄膜においても欠陥密度が高いにもかかわらず発光強度は高く、さらにアクセプターとなるボロン濃度のみが高い試料では、発光強度は著しく増大する。このことからダイヤモンドの青色発光はある種の結晶欠陥が中心となり、デバイス作製上欠陥の存在は有利となる。
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