本研究は、研究代表者らが開発した透明体に対する微少応力測定法の光弾性画像合成法を、不可視光の赤外域の領域にまで適用範囲を拡大し赤外光に対しては透明体となる半導体に適用できる応力測定システムを開発するものである。 今年度は、昨年度のシリコン半導体ウエハ-の結果をもとに、さらに適用可能な材料を拡大させることと、応力測定可能領域を可変とし、微少領域での測定も可能となるよう、システムを改良することにある。このため、以下のような検討を行い、結論を得た。 1.光源は高出力の自然電球が最も簡単で十分な輝度が得られるが、感度の校正等の関係から光学フィルタ-を併用するのが良かった。光学フィルタ-は単一波長透過型フィルタ-では、輝度の低下が大きく逆に応力測定の感度が得られず、フィルタ-としては測定物と同じ半導体を用いるのが良好であった。 2.昨年度作製した光弾性感度検定用の負荷装置では、非常に脆い半導体の場合、干渉縞を出して検定が可能な程負荷を加える前に試料が破断してしまい、この手法では汎用性に欠けることがわかった。このため新たな感度検定法を考案し、それに必要な二重負荷装置を試作した。これは感度が既知のエポキシと半導体を組み合わせ、別々に負荷を加えて半導体の感度を決るもので、これにより干渉縞を出さなくても材料の光弾性感度が決定できるようになった。 3.応力測定領域を変えるためシステムに現在の実体顕微鏡の組み込みを試みた。しかし、現有のものは古いタイプのもので赤外用TVカメラに行く光学系の分解能や倍率の変更が十分でなく、利用できないことがわかった。このため、新たに実体顕微鏡の本体レンズ部分のみを購入し、これを用いて測定領域を可変できるようにした。
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