超精密部品の高性能化を図るためには、寸法、形状、表面粗さの三者を厳しく管理しなければならない。従来の測定装置では、分解能と測定範囲の比であるダイナミックレンジは10^3程度であったのに対し、本研究は、測定システムのダイナミックレンジを10^6程度にし、形状に関するすべての成分を座標情報として測定し、その膨大なデータからソフトウェアによって、必要な幾何情報を分析するシステムを開発することを目的に、本年度は次のように進展させることができた。 (1)rーθーz座標系を基準とする高分解能ワイドレンジの測定装置の試作を行い、ダイナミックレンジを10^5以上とする偏心軸、立体カム、軸対称三次元曲面の計測を可能とした。本装置は0.1μmのディジタルプローブを用い、円筒形状測定ユニットをベースとしたシステムで、16ビットコンピータにより対話形式で制御する方式を完成させた。 (2)高分解能のアナログセンサ(分解能1nm、測定範囲Max2μm)とディジタルスケール(分解能0.01μm、測定範囲25mm)を複合させた既設微細座標測定システムを整備し、ダイナミックレンジ10^6を実現する基礎を用意した。ここでの方式は、NULL方式と積分方式のいずれも可能とする制御システムとし、次年度において精度上、操作上の得矢を比較検討する準備が完了した。 (3)ダイナミックレンジの大きい測定システムで得られるデータには、形状を表わすデータ、微細形状データ、ノイズが含まれる。これらを分離するための、三次元ディジタルフィルタの検討を行い、ほぼ満足できる性能のソフトウェアを開発することができた。
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