工業界のニ-ズである寸法、形状、表面粗さを厳しく管理する目的に沿って、主として寸法、形状を同時に測定評価するシステムの開発、整備を行った。本年度の成果を以下にまとめる。 (1)軸対称部品ワイドレンジ計測システムと処理ソフトウェア整備 ダイナミックレンジ10^6のディジタルプロ-ブを用い、応答性を損なわない限界まで測定圧を減じ、測定圧による誤差発生を抑えることに成功した。これを用い、精密転がり軸受の軌道面のようなト-ラス面の微細形状誤差を把握するソフトウェアの整備を行った。ト-ラス面は本来デ-タムをもたないために、アルゴリズムは浮動的となって通常の解析手法ではアプロ-チが困難であることを明らかにし、新たに繰り返し最小二乗法の手法を提案した。この手法は、一種の最適化問題尾あり、デ-タ相互の空間位置を維持しつつ解に近づけて行く方法である。この方法によりト-ラス面の形状誤差を導くことができた。 (2)面状部品の形状評価システムの開発と処理アルゴリズム LSIパタ-ンのように積層された立体パタ-ンは、SEMのような手法では分析不可能である。本研究では、試料をPZTにより上下制御し、HIPOSSにより数10μmのレンジを1nmオ-ダで計測できるシステムを開発した。このシステムでは、PZTのもつヒステリシスとクリ-プ性対応として、原点復帰パルスコントロ-ルを新たに考案して適用した。これにより繰り返し精度2.4nmで、ダイナミックレンジ10^5が得られた。さらに、得られた結果の三次元表示を行い、視覚的に理解できるようにした。 以上のように、本研究はダイナミックレンジ拡大を目指して、軸対称部品及び面状部品の形状を把握するシステムの開発を完了した。
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