研究課題/領域番号 |
63850053
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤田 博之 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (90134642)
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研究分担者 |
佐藤 一雄 日立製作所, 中央研究所・開発部, 主任研究員
生駒 俊明 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (80013118)
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キーワード | トンネル電流 / 走査トンネル顕微鏡 / STM / マイクロアクチュエ-タ / 静電力 / マイクロマシ-ニング |
研究概要 |
昨年度、Z方向のアクチュエ-タについては、閉ル-プ制御特性まで確認できたので、今年度はXY方向の移動ステ-ジについて検討した。マイクロ領域では摩擦が相対的に非常に大きい影響を持つため、移動ステ-ジにように変位が大きく、かつある程度の荷重を支える必要のあるものは、摩擦を何らかの構造的工夫で軽減しなければならない。このため二通りの方法について検討した。 第一の方法は、しゅう動を無くし、移動体が固定面上をころがるような構造とすることである。円筒が平板の上をころがるように、平板内に埋込んだ細線電極と円筒の間に電圧を加えて、静電吸収力により引きつけて回転させることとした。直径0.4mmの円筒を、幅30μmの駆動電極で吸い付け、毎秒20mm以上の速さで動かすことができた。この時、円筒の位置の検出は、円筒と駆動電極間の静電容量が円筒の真下の電極で最大となることを利用して行った。この結果、位置フィ-ドバック系を作ることができた。更に、2本の円筒を同時に制御することも可能とになったので、2本の円筒の上に10mg程度の板を乗せて、板をリニアに駆動する実験にも成功した。この動きの分解能は、駆動電極のピッチである60μmになっている。今後は更に電極のピッチを短くすることと、制御技術の向上により、より良い分解能を得られるよう実験を行っている。 もう一つの摩擦軽減の方法は、柔かくてある程度変位のとれる弾性支持構造を作ることである。上下方向からの荷重を支持し、同時にXY方向には柔らかく動くという構造そのものが難しい。またアクチュエ-タも、従来の例では発生力が弱いので、電界と平行な方向の力を用いるという、別の考え方に基づいてより強力なアクチュエ-タとそれらを作るプロセスを開発中である。
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