研究課題/領域番号 |
63850062
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
粕谷 英樹 宇都宮大学, 工学部, 教授 (20006240)
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研究分担者 |
坂本 正二 リオン, 聴能技術部, 部長
菊地 義信 宇都宮大学, 工学部, 助手 (20091944)
日比 正史 久留米大学, 医学部, 講師 (40173190)
平野 実 久留米大学, 医学部, 教授 (60080868)
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キーワード | 音声障害 / 病的音声の音響的評価 / 声門雑音 / 周期及び振幅ゆらぎ |
研究概要 |
声門乱流雑音成分と概周期的声帯振動に伴う高調波成分に分離し、声門雑音成分の全周期内での大きさの時間的変化特性と、周波数特性について調べた。その結果、音声障害によってピッチ周期内での雑音成分の大きさが大きくなるだけでなく、大きさの時間変化パタンが、正常な場合と違うことが明らかになった。特に、声門の一番狭くなる区間と広くなる区間での境界が不明瞭になることが分かった。一方、スペクトル特性は、正常な場合に比べて大きな違いはなく、むしろ高調波成分との相対的な関係が重要であることが分かった。これらの知見を得て、声門雑音成分の時間特性・スペクトル、高調波成分の波形・スペクトルを表示する方法を考案した。 高調波成分については、各高調波の振幅・位相の時間的変化特性を正確に測定する方法を検討した。チャープZー変換と内掃による基本波周波数の高精度測定法を組み合わせることによって、40KHzの標本化周波数でも小さい誤差で、二つの変動特性が測定できることを、シミュレーションによって明らかにした。次にこれらの変動の大きさを測定すると、従来広く用いられてきた、変動指数(PPQ、APQ)に比べて、音声障害の傾向をより適切に検査できることが明らかになった。 以上の新しい知見については、今後もっと多くの音声障害の例数について分析・検討すると共に、高精度・高速分析アルゴリズムについても考察し、音響的検査システムに組み込んで行きたい。 また、本年度は訓練のためのバイオフィードバック法について、十分検討する余裕が無かったので、この点次年度に重点的に進めたい。検査システムの基本設計は終えているので、訓練システムもいっしょにしたトータルシステムの完成を急ぎ、臨床での実験に入りたい。
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