研究実施計画に従って研究を遂行し、ほぼ初期の成果を得たのでその概要を以下に記す。1.48MBのフレームメモリ容量を持つ動画メモリ装置を設計し、製作した。本装置はR、G、B画像信号をそれぞれ14.3MHzでサンプリングし、8ビットで量子化してフレームメモリに記録するものであり、7MHz帯域の信号を約1秒間記録できる性能を持つ。2.動画メモリ装置とワークステーションのインターフェースを製作し、テレビカメラから動画メモリに入力した画像データをワークステーションに転送し、ワークステーションで処理を行った画像データを再び動画メモリに戻し、処理画像を画像モニタに表示する動画シミュレーションシステムを構築した。3.本システムは、画像の繰返し再生、シャトル再生、スロー再生、静止等、方式アルゴリズムの評価に有用な機能を持つ。4.構築したシミュレーションシステムを用いて種々の三次元TATアルゴリズムによるTAT帯域圧縮のシミュレーション実験を行った結果、静止画像については少なくとも2フレーム後には原画像との差が検知できない再生画像を得ることができ、3次元TATの有効性が確かめられた。5.モード遷移にヒステリシスを持たせる新しいモード判定方式を開発し、精細な動画像の一部に見られたちらつきを抑圧することができた。6.モード判定のしきい値近傍のひずみを持つブロック内の画素値を、しきい値の両側のモードの値を加重平均した値に修正することにより、異なるモードが接する部分での連続性を向上することができた。7.精細な静止領域にも精細モードの一部を割り当てることにより、精細な動き領域が非常に広い場合においても静止領域で十分な解像度を実現できるようになった。8.以上によって高精細画像の情報圧縮に適した新しい3次元TATアルゴリズムを開発することができた。
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