研究実施計画に従って研究を遂行し、ほぼ所期の成果を得たのでその概要を以下に記す。 1.前年度に開発された三次元TATアルゴリズムを実行する三次元TAT実験装置を設計し製作した。 2.実験装置は、圧縮率を1〜1/4の範囲で変化できること、従来の二次元TATとして動作させることができ三次元TATと比較できること、実験デ-タをコンピュ-タに転送して解析できること等の、種々の機能をもつ。 3.試作装置の規模は最も多くの処理を必要とするTATエンコ-ダでも約1万ゲ-トであり、LSI化すれば1チップで実現できる。 4.テスト信号発生器を製作して、試作実験装置の動作試験を行い、三次元TATのアルゴリズムを実行していることを確認した。 5.実験装置を用いて現行テレビの約2倍の帯域を持つ高精細画像信号の帯域圧縮実験に成功した。 6.静止画像に対しては、どのような圧縮率においても原画像との違いが検知されず、三次元TATの効果が実証できた。 7.精細な動画像の場合、Fモ-ド(フレ-ム間補間モ-ド)とCモ-ド(フィ-ルド内補間モ-ド)の判定において、歪の小さい方のモ-ドを選択する方式では、一部に前フレ-ムの画像が残る場合があった。 8.7.の問題はFモ-ド歪があるしきい値以下となる場合にのみFモ-ドとする方式により、解決することができた。これによって動画像の場合にはCモ-ドが選択され、良好な再生画像が得られた。 9.シ-ンチェンジ時の応答を測定した結果、再生画像の補間歪は、シ-ンチェンジ時直後のフレ-ムでは増加するが、その後急速に減少し、約4フレ-ム後には原画像との差が検知できなくなり、シ-ンチェンジに対しても十分な応答性を有することが明らかになった。 10.以上により高精細画像の帯域圧縮に適した三次元TAT方式を開発することができた。
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