研究課題/領域番号 |
63850064
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研究機関 | 宮城工業高等専門学校 |
研究代表者 |
小野 堯之 宮城工業高等専門学校, 一般科目, 教授 (30005342)
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研究分担者 |
松浦 真 宮城工業高等専門学校, 基礎専門科目, 教授 (40042262)
丹野 浩一 宮城工業高等専門学校, 材料工学科, 教授 (50042247)
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キーワード | スピーカー振動板 / アルミニウム粉 / アルミニウム箔 / メタクリル酸メチル / 酸化処理 / 重合反応 / ポリメタクリル酸メチル / 複合化 |
研究概要 |
最近のエレクトロニクス技術の進歩を背景にスピーカーシステムは性能の著しい改善がなされてきたがスピーカー振動板については一部で新しい材料が用いられ始めているものの、依然、従来からのパルプ繊維が主体で材料の開発研究は著しく遅れている。これらの材料は軽くて剛性およびヤング率と密度の比すなわち比弾性率が大きく、さらに適度な内部損失を有することが要求される。 本研究は研究代表者の「無機・有機系複合体の新製造法」に関する十数年間の研究成果を基に軽金属粉、箔などを化学的あるいは電気化学的な方法で酸化処理すると同時に種々のビニルチノマーを重合させて金属・無機物・有機高分子などが強固に結合した全く新しい複合体を合成し、これをスピーカー振動板材料として用いるものである。 本年度はアルミニウム粉、箔を主な素材として用い、これを種々の方法で酸化処理した後、ビニルモノマーとしてメタクリル酸メチルを重合させて複合体を合成した。アルミニウム粉の場合は主にタッピー・パルプ離解機を用いて溶媒への分散、酸化処理、重合反応を行い複合化した後、手スキ機および熱プレス機でシート化し動的粘弾性測定用の試験片を作製した。アルミニウム箔の場合は種々の有機酸、無機酸水溶液中で陽極酸化処理、電解重合反応を行い、反応条件と諸物性値との関係を調べ、複合化状態を走査型電子顕微鏡で観察した。このようにして得た複合振動板材料は密度が小さく、比弾性率と内部損失の両方が共に大きな、極めて特徴ある物性を示し、従来とはかなり異なるスピーカー振動板となり得る事を見い出した。今後さらに他の軽量金属粉、箔や種々のビニルモノマーを用いて酸化処理、重合反応を行い成形方法などを検討して振動板材料特性を明らかにし、従来材料を上まわる音響特性を有する新しいスピーカー振動板材料の実用化試験を行う予定である。
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