昨年に引き続き、アナログ電子回路の設計支援と電子素子・回路技術学習のための知的CAIの構築を目指し、そのためのソフトウェアの開発を行った。今年度の研究実績として、回路定数決定の最適化のための制約条件の相互評価を実現するファジイ理論の適用の拡充を行い、半導体パラメトリックシステム上で実現した設計手順、定数値の算出のための数値計算処理プログラムにてその具体的検証を行った。その結果、(1)ファジィ演算による最適設計原理を確立し、設計法の一般化、標準化と設計結果の厳密化が得ることができた。(2)回路定数値の変化による動作特定の変化が把握し易く、回路定数値の微妙な調正法をより的確に指摘することが出来た。(3)目標仕様の設定の妥当性を把握でき、設計ミスにおける原因を指摘し、理由を的確に説明できるなどの知見を得た。 また、設計エキスパ-トにおいて、設計知識の獲得支援のため、C言語による記号処理にて、連立方程式などの認識、計算処理を行う推論機構の拡張を行った。この結果、抽出された物理数式を表現する断片的なル-ルの複雑な相互依存関係を構造解析し、回路定数決定の最適手順を作成する知識獲得、体系化の支援手法の枠組みを得ることができた。 更に、電子素子・電子回路技術修得のための知的CAIとして、学習者フレンドリなユ-ザインタ-フェイスのための知識処理機能をC言語により構築したLISP処理系にて実現した。学習実行画面において、学習者の意図や要求をシステムへ伝達するために、学習者が電子回路構造図を簡単に入力することができる回路図作成機能、及び、動作を表現する各種数式を入力できる数式処理機能を作成し、システムがその配線図、数式表現の意味の認識、正誤の解析・診断評価する意味ネットワ-ク、フレ-ム、及びプロダクション規則の各表現を組み合わせた複合的な知識表現により構築することができた。
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