研究課題/領域番号 |
63850081
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
星宮 望 東北大学, 工学部, 教授 (50005394)
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研究分担者 |
半田 康延 東北大学, 医学部, 教授 (00111790)
泉 隆 北海道大学, 応用電気研究所, 助手 (80193374)
二見 亮弘 東北大学, 工学部, 助手 (20156938)
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キーワード | 機能的電気刺激 / ステンレス多重撚線 / 低雑音電極 / 神経インパルス導出 / 生体親和性 / 皮膚貫通端子 / 結晶化ガラス |
研究概要 |
交通事故などにより脊髄損傷が生じ、四肢の機能を喪失することがある。多くの自由度を有する上肢の機能を回復させる手段として、末梢の変性していない個々の神経・筋系を外部から刺激する「機能的電気刺激(FES)」を導入することにより、簡単な随意的手作業をさせうるが、四肢麻痺患者では肩より下位への運動指令が伝達されないため、本人の随意的制御信号を検出することに大きな問題があり、高機能化を著しく制限している。この難点の解決のために、随意的制御のための信号源としての皮下の神経・筋系の活動電位を長期間安定に取得する電極ー皮膚貫通端子ー前置増幅器系を開発することが最終目的であり、以下の成果を得た。 (1)生体内の微弱信号を検出する低雑音電極の設計理論を確立した。 (2)上記(1)から予測される低雑音電極の条件を満たすものとしてSUS316L(25μmφ×19本)を実験に用いた。この電極は低雑音特性の他に生体親和性が良く、機械的強度が大きく、柔軟性に富むなどの特徴をも有している。雑音の大きさは本研究費で購入したFFTアナライザで分析した結果、500〜5kHzの帯域幅では約0.24μVpーp(露出する電極の長さ約10mm、生理食塩水溶液中)と過剰雑音もなく低雑音であり、筋電・神経インパルスなどの導出に非常に有効なものであることが確かめられた。なお、この電極の毒性試験、溶出試験を終了し、現在臨床的な治験を行っている。 (3)結晶化ガラス(CaOーP_2O_5ーSiO_2系、MgOーAl_2O_3ーSiO_2系)を用いたスキンボタンのインピーダンス特性を調べた結果、FESにおける多チャネル刺激電極系の基準電極として使用することも可能であることが明らかになった。 (4)近々臨床的評価を行うのに先だって、上記スキンボタンの生体親和性を家兎に埋め込んで評価中である。
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