脳神経外科手術の際、断層像をもとに同定された腫瘍などの病変部位を正確に切除するためには、複数の断面像から立体位置を算出し、実際に手術を行っている部位、あるいは開頭を行う場所との相対的な位置関係を正確に知る必要がある。本研究ではこのような問題を解決すべく、多関節のア-ム先端に取りつけられたプロ-グによって手術台上の患者の頭部をアクセスすることによりその空間的位置を読み取り、CPUによる座標変換の後、CT画像に重畳されたマ-カとしてCRT画面上に表示するシステムを構成し、その実用上の問題的を工学的及び医学的に検討することに関し、主として実験的検討が行われた。すなわち、昭和63年度は位置精度低下の主たる原因であるア-ムの機械的なたわみや、ポテンシオメ-タの非直線性などについて改良を進め、ソフトウェア面では手術中の頭部固定治具のゆるみなどで生じる頭部位置ズレを補正する方法について検討を行った。平成1年度は、前年度提案したナビゲ-ション開始後のズレ補正アルゴリズムにもとずいて作動するプログラムをC言語で作成し、その動作確認を行った。また、本ナビゲ-ションシステムでは主としてCT画像を表示す際6枚の画像を平面像のままで縮小し、1枚のCRT画面上に並べて配置する方式をとっているが、初心者を対象とする教育場面では、手術計画等表現するのにより立体感のある表示方式が望まれていた。そこで、CT画像から得られる骨の座標を補問することで、縦方向にも連続的な面デ-タを構成し、疑似3次元表示する方式についても検討を行った。その結果、現段階では演算にやや時間を要するためオンライン処理にはやや難点があるものの、今後CPUの能力向上により、十分実用化されうるものとの結論を得た。
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