研究課題
1. 斜面上基礎の補強工法の研究の基礎段階としてまず、幅40cm、長さ183cm、深さ74cmの模型水平砂地盤の支持力を、地盤内に水平に配置した補強材で増加する方法の研究を行った。模型補強材としては各種の金属性帯(ストリップ)を用い、幅10cmの帯基礎を鉛直に押し込んだ。その結果、次のことが分かった。(1)基礎直下の主動領域を長さが基礎幅Bと同一の補強材で補強して、主動領域内の土の引張りひずみが拘束すると、あたかも基礎の根入れが増加したようになり支持力が増加する。補強材が十分に密な時は補強領域が剛な深い基礎の根入れ部のようになることにより支持力が増加する。補強材密度が低いときと補強材の引張り破断強度が十分大きくないときは、この支持力増加量は補強領域の圧縮強度によって決まる。(2)基礎幅より長い補強材の場合は、基礎幅より外にある補強材が基礎荷重を拡散させて支持力を増加する。しかしこの増加量は上記のメカニズムによる支持力増加量と比較すると二次的である。(3)これらの支持力増加量を推定する式を提案した。2. 上記の1.の研究成果に基づいて斜面上の基礎の支持力を増加する補強工法の模型実験を行った。模型基礎に加える荷重を傾斜・偏心させそれを自動的に制御した。その結果、次のことが判明した。(1)斜面上の基礎の場合も引張りひずみを拘束するように引張り補強材を配置するのが最も有効である。(2)斜面近くの土は帯状の補強材だけでは十分に補強できず、補強材と結合した法面上を用いて斜面近くの土に拘束圧を与えて安定化することが極めて有効である。(3)円弧すべり面を用いたスライス法極限釣合法による新しい安定解析法を提案した。即ち、重力・補強材引張り力・基礎荷重の作用方向がそれぞれ大きく異っている場合は、それぞれの方向に別個にスライスを切って別個にすべり面上の力を求めてから全体の極限釣合を検討するのが合理的であることが判明した。
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