研究課題/領域番号 |
63850114
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
柴田 徹 京都大学, 防災研究所, 教授 (20027212)
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研究分担者 |
諏訪 靖二 (財)大阪土質試験所, 主任研究員
三村 衛 京都大学, 防災研究所, 助手 (00166109)
道廣 一利 摂南大学, 工学部, 助教授 (50100566)
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キーワード | アコ-スティック・エミッション / コ-ン貫入試験 / モデル地盤 / 砂質土 / 粘性土 / 土質分類 / 液状化 / 地盤調査 |
研究概要 |
本研究は、簡単な操作でしかもできるだけ多くの地盤情報を得る目的で試作した試験機の実用化をはかるもので、標題のアコ-スティック・コ-ン(Acoustic Cone)とは、AE(Acoustic Emission)検出装置を内蔵した多成分コ-ン貫入試験機のことである。従って貫入時のコ-ン抵抗、周面摩擦、およびAE(貫入時の抵抗によるAE発生頻度や周波数分布)をそれぞれ測定することが可能となる。 本年度は、土槽中のモデル地盤(気乾燥の砂質土と粘性土で構成)に対して、AEコ-ン貫入試験を実施した。結果は、次のとおりである。 (1)モデル地盤で全層砂質土の場合と全層粘性土の場合とを比較すると、砂質土のAE発生率は深さとともに増大するのに対して、粘性土のそれは極めて微少である(粘土は砂の1/100のオ-ダ-)。砂と粘土地盤のコ-ン貫入抵抗値は殆んど変らないにも拘らず、このことがいえる。 (2)粘性土と砂質土が互層をなすモデル地盤についても同様の比較をしたが、やはり砂層でAEの発生が明らかにみられ、しかもその発生率は深くなるほど増加する。これより、AE情報を活用すれば、厚い粘土層中にレンズ状に堆積した薄い砂層の存在を確認することが可能となる。 (3)既往の文献から、AEコ-ン結果と土の粒径(平均粒径D_<50>)との関係を調べた。地盤に対するAEの研究分野では、計測器の較正や計測パラメ-タの選択が未だ確立していないために、定量的なデ-タの比較が困難である。そこでD_<50>=0.25mmの砂におけるAE累積数を規準にとり、他のD_<50>に対するAE値との比率でグラフ化した。このグラフを用いて地盤のAE計測結果から土の粒径を推定し、かつ液状化ポテンシャルを予測するには、AEのばらつき幅が問題となるが、今後の研究により、拘束圧の違いなどを考慮すれば、解決は可能と考える。 なお平成2年度には、引続きAEコ-ンの現場実験を行う計画である。
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