研究課題
試験研究
本研究は、石炭火力発電に伴って多量に排出される石炭灰の有効利用法として開発された石炭灰砂の軽量性に着目し、これに炭素繊維や局弾性ビニロン繊維などの新素材を補強材料として使用する事により、新しい建築内外装材料の開発を目的としたものである。試作された種々の繊維補強石炭灰砂モルタルの強度特性、耐火性能、耐凍害性等について実験的検討を行なうと共に、破壊力学に基づいた繊維補強モルタルの破壊靱性評価パラメ-タ-について理論的・実験的検討を行った。成果を要約すると、以下の通りである。1.既に、実用に供されている建築外装材の諸性能及び生じているクレ-ムの内容を調査・検討し、今後開発されるべき材料に求められる諸性能を分析した。2.繊維補強石炭灰砂モルタル供試体の強度特性に関する実験的検討を行い、ビニロンメッシュの混入は石炭灰砂軽量モルタルの曲げ強度及び靱性の向上に寄与する事を明らかにした。3.各種繊維補強石炭灰砂モルタルの耐火性能を実験的に検討し、ファイヤ-サンドモルタルは勿論のこと、古紙を用いたパルプサンドも充分な耐火性能を有することを明らかにした。4.各種繊維補強石炭灰砂モルタルの凍結融解試験を行い、石炭灰砂プレ-ンモルタルは普通の硅砂モルタルと比べて耐凍害性は劣る傾向にあるものの、ビニロン繊維や炭素繊維などの混入補強により、耐凍害性は格段に改善される事を明らかにした。5.破壊力学的な手法に基づき、繊維補強セメント硬化体の破壊靱性について理論と実験の双方から検討した。その結果、単なるエネルギ-の吸収性能を評価するだけでは充分ではなく、引張軟化特性の評価が繊維の複合効果を明らかにするには有効であることを明らかにした。
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