研究課題/領域番号 |
63850134
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴木 舜一 東北大学, 工学部, 教授 (80005214)
|
研究分担者 |
土屋 範芳 東北大学, 工学部, 助手 (40207410)
小田 幸人 東北大学, 工学部, 助手 (40005369)
南部 正光 東北大学, 工学部, 助手 (10005340)
|
キーワード | ケロジエン / グラファイト化度 / 地質温度計 / 地層の熱史 / 続成作用 / 変成作用 |
研究概要 |
各地の古生層、中生層および第三紀層の炭質物について、続成および変成作用に伴う構造変化と光学性の変化に関する研究の結果、次のことが明らかになった。 1.続成ないし低度変成段階までは、変化の指標としては、ビトリナイト反射率が適している。すなわち、メタ無煙炭段階まではビトリナイト反射率が指標として有効である。さらに変成度が上昇し、グラファイト化が進行すると、反射率の測定が困難となるが、積層構造が発達するため、結晶子のC軸方向の大きさL_c(002)と格子歪みε_cがグラファイト化度の指標として用いられる。 2.わが国では、グラファイトの産出は先第三紀の接触変成岩および広域変成岩に限られ、第三紀層では貫入岩接触部でも一般にコークス化にとどまっている。これは、グラファイトの生成が圧力にも依存することを示している。グラファイト生成の圧力の下限については、まだ明らかではないが、埋没深度3000m程度に相当する圧力と推定される。 3.阿武隈山地日立地域の広域変成岩では、緑色片岩相に属する大雄院層および鮎川層中に炭質物が含まれており、そのL_c(002)は30〜300〓で、一般に下位に向って増加している。本地域では、緑色片岩相と緑れん石角閃岩相との境界のL_c(002)値は約300〓である。 4.阿武隈山地の八茎鉱山付近のボーリングコア試料について測定の結果、花崗岩に近ずくにつれてL_c(002)が増加し、ε_cが減少することが明らかになった。これらのデータから、グラファイト化度は潜在花崗岩の位置と深さの推定に有効で、スカルン鉱床や深熱水鉱床の探査に応用しうるものと考えられる。 5.飛騨帯、美濃帯および足尾帯の中生層の炭質物については、現在研究中であるが、グラファイト化度は熱史解明の新手法となるであろう。
|