研究課題/領域番号 |
63850142
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大森 康男 東北大学, 選鉱製錬研究所, 教授 (20006026)
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研究分担者 |
坂本 登 日本鋼管(株), 中央研究所・第一研究部, 室長
斉藤 汎 日本鋼管(株), 中央研究所・鉄鋼技術部, 製鉄チームリーダー
重野 芳人 東北大学, 選鉱製錬研究所, 助手 (70108570)
井上 博文 東北大学, 選鉱製錬研究所, 助教授 (70006039)
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キーワード | Wicke-Kallenback法 / ガス有効拡散係数 / 高温測定 / 段階還元 / 焼結鉱 / カルシウムフェライト / ヘマタイト / 形態制御 |
研究概要 |
今年度は主に形態制御をした焼結鉱中単一鉱物組織の段階還元途中におけるガス有効拡散係数の変化に関する研究を行った。測定法は定常型W-K法にである。得られた結果を以下に示す。 1.試薬合成により、焼結鉱中に存在する主要鉱物組織であるヘマタイト(Hm)とカルシウムフェライト(CF)の合成および形態制御を鉱物工学的手法を用いて行った。Hmは、状態図に基づく考察から形態制御(微細型、骸晶状菱形、斑状等)が可能なことを確認した。しかし、CFの形態制御(樹枝状、針状、柱状、セル状)に関しては、現時点では統一された考え方はない。そこで金属凝固理論から、過冷却と結晶形態の制御方法を参考として、加熱温度、凝固潜熱の効果的抜熱、冷却速度等を系統的に変えることにより、結晶の形態制御に成功した。各鉱物組織は、針状CF合成を目標とした微細型CF+Hmの混合組織を除き、ほぼ単一相(顕微鏡観察による面積率で90%以上)であった。 2.各合成試料を段階還元することにより次のことがわかった。拡散型組織は未還元、還元組織を通じて、完全溶融型組織に比較し、各還元段階で拡散係数は大きい。特に、針状CFに近い組織のDeは最も大きい。また各組織とも還元の進行と共にDeの値は急激に増大することがわかる。特に斑状Hmの場合、Hmからマグネタイト(M)への還元時でDeが急激に増大するのは、結晶構造変化に基づく微細なクラックが生成するためと推定される。しかし、それ以外の試料については、未還元試料のDeの大きさの順預は還元が進行した場合も変わらない。ただし、試料間のDeの差は次第に縮小し、未還元試料では微細型CF+Hmと斑点Hmの間にはDeで約1000:1の差があったにもかかわらず、鉄まで還元されたときには10:1程度まで縮小する。
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