研究課題
種々の多孔質体に対し、反応過程における拡散流速および圧力勾配に伴う粘性流の流速を高温にて直接測定が可能なWickeーKallenbach法(以下WーK法と略記)に基づく測定装置の試作を行った。また、試作した装置および既存の実験設備などを使用して、以下に示す研究を行った。1.各種炭材の酸化および酸化鉄、鉄網石塊成鉱(ペレット、焼結鉱)などの段階還元における組織変化と気孔構造変化の過程を明らかにする。2.多孔質体内の気孔構造を断面の画像解析装置により解析し、求められた構造パラメ-タから、ガス輸送速度の推定が可能なモデルを開発する。3.WーK法を用い、定常状態での多孔質内のガス拡散速度、特に反応に大きく影響するミクロポア中の拡散(Knudsen拡散)の評価を行う。得られた成果の中の主要なものを以下に挙げる。1.焼結鉱中に存在する主要鉱物の合成を鉱物工学的手法を用いて行い、各種の形態制御条件を確立した。2.各種の合成鉱物試料を段階還元した結果、拡散組織は未還元、還元後の組織を通じて、溶融型組織により大きなガス拡散速度を持つことがわかった。特に、針状カルシウムフェライト(CF)組織は最大の拡散速度を示した。また、各組織共に還元に伴って拡散速度は増大し、気孔構造変化および結晶構造変化に基づくクラックの成長に起因することを確認した。3.CF組織には選択的な還元様式が認められ、これに伴う気孔形状変化の特徴を明らかにした。
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