研究課題
試験研究
高純度ガリウム抽出の需要に応えるため、超イオン導電体の一つであるNa-β-アルミナにク-ロン滴定法を応用し、Ga-β-アルミナを作成することを目的として調査並びに試験研究を行った。置換すべきGaの原子価については、Ga^<3+>がイオンとして安定であるがNa^+と置換するためにはGa^+イオンでなければならない。Ga^+を構成するものとして何がよいか種々調査検討した結果、溶融状態で1価のGa^+と3価Ga^<3+>イオンが共存するGacl_2を滴定法の材料として選定した。次に(+)|Gacl_2(L)+Ga(L)|Na-β-アルミナ|Gacl_2(L)|(-)のような通電により、Na-β-アルミナのNa^+イオンをGa^+イオンと置換する。この条件として導電性の立場とGaCl_2の低圧の溶融状態の二つの要素により210℃が最適である。また通電の印加電圧は2mmの肉厚、1cm直径の素材に対して2Vが上限であることを確かめた。この条件下で、通電を約100時間以上行うことによりNa^+からGa^+に殆んど完全に置換することができることを確認した。この確認には螢光X線による原子吸収スペクトルを用いた。また結晶構造の観点からNa-β-アルミナとどのような相違があるかを調べるため、X線回折の実験を行った。その結果、Ga-β-アルミナの基本構造はNa-β-アルミナのそれと等しいスピネルブロックを含む六方晶であるが、置換によりC軸の基本長が22.512Åから22.735Åとなり、約1%ののびが認められた。これに対し、a軸の長さは殆んど不変で5.603Åであった。このことはK^+による置換と同程度の容易さであり、今後これが工業化される可能性をもつことを支持する結果となった。本研究と並行してこの間、Na-β-アルミナを用いてNa-In、Na-Biの溶融状態における熱力学量をも測定したので合わせて報告する。
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