研究課題/領域番号 |
63850155
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研究機関 | 宮城工業高等専門学校 |
研究代表者 |
野本 俊夫 宮城工業高等専門学校, 機械工学科, 講師 (50099769)
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研究分担者 |
鈴木 勝彦 宮城高専, 材料工学科, 講師 (80187715)
小野 〓幸 宮城高専, 一般, 教授 (30005342)
渡辺 宏 宮城高専, 基礎専門, 教授 (60004313)
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キーワード | 金属多層膜 / X線小角散乱 / インプロセス制御法 |
研究概要 |
今年度は昨年度より進められてきた金属多層膜作製装置を完成させ、X線回折による金属多層膜のインプロセス制御法の開発を完成させる予定で研究を進めてきた。しかし当初の研究代表者である松浦真が2年度目にあたる昨年4月9日より急きょIBM T.J.Watson研究所の客員研究員として米国に派遣されることになった。そこで、代表者を野本俊夫に変更し本研究を推進させることとした。本年度は野本俊夫を中心に本校において引き続き本装置の作製をすすめ、本年度中にほぼ目的の装置を完成させることができた。ただし最終目的であるX線回折によるインプロセス制御法の確立にまでは至っていない。今年度中の成果としては鉄と希土類金属からなる金属多層膜を実際に作製し、これらの膜のキャラクタリゼ-ションを行い、従来の水晶振動子を用いて作製された多層膜についての問題点を明らかにした。多層膜は鉄と希土類金属(Ce or Er)とを交互に50Åと70Åの膜厚で合計40層になるよう電子ビ-ム蒸着法で積層した。こうして作製した多層膜の膜構造をX線小角散乱とラザフォ-ド後方散乱(R B S)法により調べた。多層膜のX線小角散乱は反射法により行い、グラファイントで単色化したCu Kαを線源として用いた。X線小角散乱の回析ピ-クから求められた多層膜の周期は予想された値より20%近く低かった。またFe/Ce多層膜の小角散乱スペクトルは計算値と大きな違いをしめした。R B Sの測定結果からこの原因としてas depoの状態においてもFe原子がCe膜中に拡散しており、多層膜の組成が大きく変調を受けていることが明かとなった。これらの事実から次のようなことがわかった。 (1)従来の水晶振動子により膜厚をモニタ-する制御法では正確な膜厚を持つ多層膜を作製することは困難である。 (2)X線回折で多層膜の構造解析を行う場合、あらかじめR B S等の手段により相互拡散係数の測定が重要である。
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