研究課題/領域番号 |
63850160
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
板谷 謹悟 東北大学, 工学部, 助教授 (40125498)
|
研究分担者 |
冨田 英介 セイコー電子工業, 研究開発部, 研究員
安宅 龍明 セイコー電子工業, 研究開発部, 研究員
菅原 静郎 東北大学, 工学部, 助手 (30196703)
|
キーワード | 走査型トンネル顕微鏡(STM) / 電気化学 / その場観察 / 電析 / 単結晶金属電極 |
研究概要 |
走査型トンネル顕微鏡(STM)は、真空中はもちろんのこと、空気中、さらには水溶液中においても動作することが明らかとなってきた。このことは電気化学の立場からすれば、電気化学反応が起こっている電極/水溶液界面の構造が、原子・分子のレベルの解像力でその場観察されうる可能性が非常に高くなってきているといえる。本研究では、研究代表者が現有するSTM装置を改良することにより、電気化学測定とSTMのその場観察の両者を、電解質溶液中で同時に行おうとするものである。 昭和63年度の研究実績は、大別すると以下の3つに分類される。すなわち、(1)溶液中STM装置本体の改良、(2)新しい制御回路の開発、(3)コンピューターによるデータ処理である。(1)に関しては、液体中のSTM測定は、超高真空中あるいは空気中での測定に比べて非常に困難な場合が多い。例えば、液体の振動のために、防振は極めて厳密に行わなければならない。また、電気化学的反応によって流れる電流を極力少なくし、トンネル電流が主となるような探針チップを作製しなければならない。これら両者の課題について当初の目標を達成した。(2)に関しては、探針チップと試料の電位を、ある参照電極に対して個別に制御可能な、新たな電気化学測定用STM制御回路の開発に成功した。本装置を用いて、電析過程の直接観察、あるいは単結晶金属表面上の反応過程のその場測定を行うなど、すでに次年度の研究計画の実施にも着手している。(3)のコンピューターによるデータ処理については、Z信号をA/Dコンバーターによりデジタル信号化し、これをコンビューターのメモリー上へ転送することにより、STM信号のデジタル化を行った。今後、電析過程の詳細な検討、単結晶電極上における反応過程のその場観察について更に研究を進めていく予定である。
|