研究課題/領域番号 |
63850166
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
花田 禎一 京都大学, 教養部, 助教授 (50111935)
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研究分担者 |
木村 邦夫 松下電器産業, 中央研究所, 主任研究員
平尾 一之 京都大学, 工学部, 助教授 (90127126)
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キーワード | 薄膜 / セラミックス薄膜 / 弾性率 / 非晶質薄膜 / 高温弾性率 / 弾性率の温度依存性 / 弾性率の温度係数 |
研究概要 |
1.セラミックス薄膜を実用化する場合の力学的挙動を明らかにすることを目的として、高周波スパッタ法により作成したSiO_2ーAl_2O_3及びAlPO_4ーAl_2O_3系非晶質薄膜の弾性的性質に関する研究を行った。弾性率の測定は振動リード法を用い、二種類の異なる形状を持つステンレス板を基板とし、弾性率としてヤング率とポアソン比を求めた。得られた弾性率のデータからその物質の体積弾性率を計算し、体積弾性率とその物質の平均原子容との関係から、セラミックス中のアルミニウムイオンの酸素配位状態を推定した。得られた結果は、これまでに我々が他の物理的性質をもとに明らかにした。この系におけるアルミニウムイオンの配位状態の結果とよく一致し、SiO_2とAlPO_4は同様な固体構造を持つが、それぞれの弾性率にたいするアルミナの添加効果には、大きな違いがあることが解った。 2.セラミックス薄膜の高温域での力学的挙動を推定するために弾性率の温度依存性測定装置を試作し、予備実験を行った。測定は、セラミックス薄膜弾性率測定用に開発した振動リード法の原理を応用し、これを一般にセラミックス材料の弾性率測定に用いられている懸垂式共振法をもとに作製した装置を用いて行った。高温炉内に薄膜と基板により構成された二重梁を懸垂し、懸垂線を通して基板を励振しながら共振周波数を測定した。基板には市販のスライドガラスを使用し、この基板上に真空蒸着装置を用いて金属アルミニウム薄膜を作成し、異なる膜厚の薄膜にたいして室温から230℃付近まで基板の共振周波数を求め、薄膜のヤング率の温度係数を求めた。結果は厳密に文献値と一致しないものの、オーダー的には適当であった。この予備実験の結果から、今回試作した測定装置が、セラミックス薄膜の高温における弾性率の温度依存性測定装置として有効なものと期待できることがわかった。
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