研究分担者 |
安西 弘行 通産省, 工技院電総研, 主任研究員
小林 常利 理化学研究所, 研究員 (30109798)
杉本 豊成 京都大学, 工学部, 助教授 (30093256)
三木 定雄 京都大学, 工学部, 助手 (30135537)
田丸 良直 長崎大学, 工学部, 教授 (80026319)
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研究概要 |
1.エレクトロクロミック分子:4つの1,3ージーtーブチルー4ーヒドロキシフェニル基で置換されたチエノ[3,2ーb]チオフェン及び1,3ージチオール[n]テンドラレン、(n=3,4)を合成し、これらが顕著な3色エレクトロクロミズムを示すことを見出した。このチエノチオフェンは比較的低電位(+0.95V/銀1塩化銀)内で、2電子及び4電子酸化物間で、淡黄、青、赤褐色の色調変化を示し、各酸化物の寿命も比較的良好であった。一方、テンドラレンでは、+0.30Vの低電位内で、カチオンラジカル及びジカチオンに基づく、黄、緑、青色の3色変化を示した。とくに、対応する[2]テンドラレンの場合と異なり、この場合にはジカチオンが青色を呈し、カチオンラジカルよりもより長波長側に吸収を有している(吉田、杉本)。 2.フォトクロミック分子:ドナー・アクセプター型ビシクロ化合物はフォトクロミック機能材料の1つのキー化合物であるため、それらの分子の電子構造に関する研究を光電子スペクトル及び分子軌道法的手法を用いて系統的に研究し、ビシクロ[2,2,n]アルカジエン誘導体において普遍的に、n=2と3の間でHOMOと第2HOMOがアボイテドクロッシングするという重要かつ新しい現象を見出した(小林、吉田、三木)。一方、新規フォトクロミック分子として、1,2,3位に嵩高い置換基を有するアントラキノン誘導体を設計・合成し、それらが光照射下、対応するヘミヂュワーアントラキノンに原子価異性化することを見出した。この異性化は光化学的に可逆かつ定量的であり、新しいフォトクロミック系として興味深い。なお、本反応は、アントラキノンの光化学挙動としては全く新しいπ系での結合組み換えであるが、これは、上記のアントラキノン誘導体では、最低励起一、三重項ともにππ^*性であるためである事も時間分解分光学的に明らかにした(吉田、三木)。
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