研究課題/領域番号 |
63850171
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
吉田 善一 京都大学, 名誉教授 (60025814)
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研究分担者 |
三木 定雄 京都大学, 工学部, 助手 (30135537)
杉本 豊成 京都大学, 工学部, 助教授 (30093256)
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キーワード | 酸化還元系 / エレクトロクロミズム / 1,3ージチオ-ルデンドラレン / ビラジカル励起状態 / フォトクロミズム / 光原子価異性 / ナフタセンキノン |
研究概要 |
エレクトロクロミック及びフォトクロミック機能を有する以下の化合物の合成に成功し、それらの性能について検討した。 1.エレクトロクロミック分子:1、3ージチオ-ルあるいは1、3ーベンゾジチオ-ル基で置換された〔3〕ー及び〔4〕ーデンドラレンを合成した。これらのデンドラレンは可逆、可逆そして不可逆な3段階の化還元波を示し、かつそれぞれの波は1電子、1電子、2電子移動を含んでいた。第一(E_1)及び第二(E_2)酸化還元電位をそれらの対応する〔2〕デンドラレンと比較すると、E_1についてはほとんど変化が見られないが、E_2については90ー170mVより低電位側にシフトしている。また、酸化の進行に伴ない鮮明な色調変化が観察された。例えば、トリベンゾ置換〔3〕デンドラレンでは、中性で黄色、カチオンラジカルで暗青色、ジカチオンで緑色に変化した。 2.フォトクロミック分子:前年度でトリアルチルジシアノノルボルナジエンにようなドナ-・アクセプタ-型ノボルナジエンが長波長光感受性をもつ光応答系であることを見出している。最終年度では、フィルム化などで問題となる媒体混合性のよい誘導体として、nープロピル基やnーブチル基を有するDAノボルナジエンを設計・合成した。また、前年度にアントラチノン分子を光化学的に活性化する置換様式を開発したが、本年度ではその置換様式をナフタセンキノンに施した分子を合成した。1、2、3位に嵩高い置換基を導入したものでは、アントラキノンと同様に光照射でヘミジュワ-化した。一方、7、8、9位に置換したものでは、対応するナフタセンキノバレン誘導体を与えた。この反応は光化学的に可逆かつ定量的で、さらに系の長波長光感受性も530nmに及び有望なフォトクロミック系である。生成するナフタセンキノバレンの速度論的安定性も極めて優れている。
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