本研究は、多孔質膜上にポリイミド累積膜を作成し、そのもののガス透過性を検討することにより、ポリイミド累積膜(ポリイミドラングミュア-ブロジェット膜)の新たな応用展開を計ろうとするものである。 昭和63年度は多孔質膜へのポリイミド累積膜の作成方法を検討した。まず、ポリプロピレン多孔質膜として市販されている、「ジュラガ-ド2400」を使用し、この基板上にポリイミドLB膜の累積膜を作製してガス透過の実験を行なったところ、累積層数の変化に応じて透過係数も減少し、透過係数が膜厚の影響を受けていることが明らかとなったが、酸素と窒素の透過係数の差はほとんどなく、膜に微細な空孔が存在している可能性が残された。そこで本年度は、ガス透過の評価と平行してポリイミドLB膜中の欠陥について電気化学的な手法による詳細な検討を行なった。その結果、ポリイミドLB膜は脂肪酸LB膜と比較して、格段に欠陥が少ないこと、その化学構造を変化させることでほぼ欠陥のない膜を作製できること、等を明らかにした。しかしガス透過における、酸素、窒素の比の拡大は成功しておらず、今後の問題として残された。
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