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1988 年度 実績報告書

新しい微生物ポリエステルの発酵生産プロセスの開発

研究課題

研究課題/領域番号 63850183
研究種目

試験研究

研究機関東京工業大学

研究代表者

土肥 義治  東京工業大学, 資源化学研究所, 助教授 (40016639)

研究分担者 中村 義之  東京工業大学, 資源化学研究所, 助手 (90155870)
キーワード微生物ポリエステル / 共重合ポリエステル / バイオプラスチック / 発酵生産プロセス / 生物分解性ポリエステル / 機能材料
研究概要

多くの微生物は、R体の3ービドロキシブチレートの重合体P(3HB)を生合成し、菌体内にエネルギー貯蔵物質として蓄えている。このバイオポリエステルは、175〜180℃に融解温度をもつ成形加工の容易な熱可塑性プラスチックである。しかも、自然界の微生物によって分解される(生物分解性)プラスチックであることから、無公害バイオプラスチックとして長く注目されてきた。しかし、P(3HB)は、高い結晶性の強いプラスチックである反面、極めてもろいという機械的性質のために実用化されていない。筆者らは、水素細菌Alcaligenes eutrophusに与える餌の炭素源を工夫することによって、2種の新しい共重合ポリエステルを発酵生産するプロセスを開発した。A.eutrophusに吉草酸と酪酸を与えると、3ーヒドロキシブチレート(3HB)と3ーヒドロキシバリレート(3HV)とのランダム共重合ポリエステルを発酵生産できることを見いだした。餌の吉草酸と酪酸との混合比を変えることによって、共重合体の3HV分率を0〜95モル%の広い範囲にわたり調節できることがわかった。また、A.eutrophusに4ーヒドロキシ酪酸を与えると、3HBと4ーヒドロキシブチレート(4HB)との新しいランダム共重合体が発酵生産できることを見いだした。4ーヒドロキシ酪酸と酪酸との混合培地を用いることによって、4HB分率を0〜60モル%の範囲で調節できた。さらに、安価な炭素源である1,4ーブタンジオールやγーブチロラクトンからも、P(3HBーcoー4HB)共重合体を発酵生産できることを明らかにした。これらの新しい共重合ポリエステルは、分子構造と共重合組成を変えることによって、結晶性の硬いプラスチックから弾性に富むゴムまで幅広い物性を示す素材となり、強い糸や透明なフィルムに加工できることを明らかにした。このように、微生物ポリエステルは、基本的には、合成プラスチックと同様な方法で加工でき、使用できる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Y.Doi: Appl.Microbiol.Biotechnol.28. 330-334 (1988)

  • [文献書誌] Y.Doi: Macromolecules. 21. 2722-2727 (1988)

  • [文献書誌] M.Kunioka: Polymer Commun.29. 174-176 (1988)

  • [文献書誌] Y.Doi: Makromol.Chem.189. 1077-1086 (1988)

  • [文献書誌] 土肥義治: "発酵法によるバイオプラスチックの生産と利用" BIO INDUSTRY, 637-644 (1988)

  • [文献書誌] 土肥義治: "微生物のつくるバイオプラスチック" 現代化学, 44-49 (1988)

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公開日: 1990-12-19   更新日: 2016-04-21  

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