研究課題/領域番号 |
63860001
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
日向 康吉 東北大学, 農学部, 教授 (00005589)
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研究分担者 |
岩淵 せつ子 東北大学, 農学部, 教務員 (50089794)
浅野 三夫 東北大学, 農学部, 教務員 (40089793)
大久保 一良 東北大学, 農学部, 教授 (00005612)
元村 佳江 東北大学, 農学部, 助手 (50005609)
原田 久也 農林水産省, 農業生物資源研究所, 室長
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キーワード | サポニン / 配糖体成分 / 品種 / 品種の判別 / 大豆 / ケモタキソノミ- |
研究概要 |
品種の識別は品種改良の基礎であることから、蛋白質等の成分分析による品種の識別が試みられているが、これまでこのような化学分析による品種の識別は可能であるとみなされていた。しかし、初年度には約400品種の大豆種子を全粒、種皮、胚軸および子葉に分け、サポニン等の配糖体成分を分析した結果、全粒および各部位において品種間に明瞭な差異のあることを初めて明らかにすることができ、さらに、コメ、ダイズ、アブラナ、ブドウの代表的栽培品種の種子および桃、ブドウの葉を試料にして配糖体成分の抽出、薄層クロマトグラフィ-での展開および高速液体クロマトグラフィ-での分離条件を確立し、各作物に特異的な成分、未確認成分などをある程度明らかにしながら典型的に分析パタ-ンを得ることができた。本年度は栽培年度および採取時期を異にするサポニン組成とその含量について調べた結果、いずれの品種においても栽培年度間の差はほとんどみられず、品種間の差が著しかった。また、ブドウ属植物の葉に含まれるサポニン様物質による品種群の識別を試みた結果、HPLC検出ピ-ク面積比から品種群を分けることができ、Muscadinia亜属、North America種群、East Asia種群では1品種を除いて0.2以下であったのに対し、Euracia種群では0.5〜2.9で明らかな相違がみられた。日本の栽培品種はEuracia種群と同じ傾向を示し、育種目標がヨ-ロッパ種の上品な香味をもつ品種の改良であったことと一致した。さらにアブラナ科植物についても品種間の比較を試みた結果、配糖体成分組成による品種判別が可能であり、F_1種子からの親の判定が強く示唆された。未確認配糖体成分の化学構造の解明も同時に進み、アブラナから数種単離することができ、現在機器分析による解明を行っている。また大豆サポニンを中心に生合成経路を検討し、その集積部位を一部明らかにすることができた。
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